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 1970年代初頭に発明された集積回路は、3年でおよそ0.7倍という驚異的なスピードで微細化が進められてきました。この微細化、高集積化を支えている技術が、回路や素子のパターンをシリコン基板上に転写する光リソグラフィー技術です。
線幅23 nmに達する次世代マイクロ・プロセッサ製作には、波長13.5 nmを有する極端紫外光源(Extreme Ultra Violet: EUV)を用いたリソグラフィー技術の確立が不可欠です.EUVリソグラフィーのボトルネックの一つとして、産業界の要求に耐えうる高出力・長寿命なEUV光源が未だ完成されていないことが挙げられます。産業界からは、光源取り出し部において115 Wの出力、半年から一年間の連続運転による出力劣化は10 %以内という性能が要求されています.
 
 産業界からの要求に耐えうるEUV光源の実用化のために,本プロジェクトでは以下の研究課題に取り組んでいます.

1) レーザー生成プラズマにおけるEUV光放射の物理機構を解明し,EUV放射プラズマに関するデータベースを構築して,高効率EUV光発生条件を明らかにすること.
2) 我が国オリジナルのターゲットを開発すること.
3) EUV放射プラズマ生成に必要な高性能レーザーの基盤技術を開発し,EUV光源実用化に必要なレーザー設計指針を明らかにすること.

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研究開発体制
 開発計画や研究の進め方及び物理的・技術的成果は,経済産業省プロジェクトのEUVAチームを含むEUV光源開発技術委員会(二ヶ月に一回開催)にて討論され,プロジェクト関係者間で情報を共有し研究開発の効率化と開発速度の向上を図っています.
 EUV光源開発技術委員会の下には,五つの専門委員会(Working Group)が組織され,高性能レーザー開発,光源プラズマ開発,原子過程理論構築に関わる詳細な議論が行われています.

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 ホーム>>研究目的・組織トップページ>>研究進捗

  

EUV光(極端紫外光)放射効率3%の達成

 大阪大学のグループは、球対称配置の激光XII号レーザーと球状のスズ・ターゲットを用いてエネルギーの損失を抑制することで、入射レーザー光から極端紫外光(EUV光)への変換効率として最高記録の3%を達成しました。この成果により、実用機に要求される出力を達成が可能であることが実証されました。

  様々な照射強度における球状スズターゲットからの広帯域放射スペクトル

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ナノ多孔質酸化スズ製造法の確立

 EUV放射効率の高効率化にはターゲット材の低密度化が有効であると考えられています。大阪大学のグループは、ナノ微粒子とスズ化合物の混合液を使い、固体の酸化スズに対しておよそ10%の密度を有する低密度酸化スズの製造に成功しました。

  ポリスチレン微粒子と多孔質酸化スズ

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キセノン固体ターゲットからのEUV放射の高効率化

 兵庫県立大学の研究グループは、キセノン固体ターゲットに照射するレーザー条件を変化させることで、キセノンプラズマからのEUV放射効率が向上することを明らかにしました。キセノンプラズマはEUV集光ミラーへの汚染が少ない光源として期待されています。

回転ドラム式クライオキセノンターゲットEUV光源の可視光発光

 

炭酸ガスレーザー生成プラズマからのEUV放射を観測

 九州大学の研究グループでは、波長10.6ミクロンの炭酸ガスレーザーを用いた場合でも、YAGレーザーで生成されるプラズマと遜色ないEUV放射効率が得られる領域が存在することを確認しました。炭酸ガスレーザーは、YAGレーザーと比べて安価であり、光源の低コスト化につながる重要な成果です。

 

ターゲットからのイオン放射特性を観測

 宮崎大学のグループは、レーザー生成プラズマから放出されるイオンを計測し、イオンエネルギー及び方向分布の原子番号依存性を明らかにしました。この成果は、デブリによるEUV集光ミラーの汚染問題を解決するための指針を与えるものです。


詳細原子コードによるEUV放射物理の解明


 多電子イオンからのEUV放射スペクトルを正確に評価するためには、詳細な原子過程モデルを取り入れた原子コードの開発が不可欠です。日本原子力研究所、北里大学、奈良女子大学、核融合科学研究所の連携の下、様々なコードを用いてキセノンイオンからの放射スペクトルが計算されています。これらの計算結果と、東京都立大学のECR(電子サイクロトロン共鳴)型イオン源を用いて実験的に得られた単価数キセノンイオンからの放射スペクトル、及び核融合科学研究所のLHD(大型ヘリカル装置)で生成したキセノンプラズマからの放射スペクトルとの比較・検討が進められ、微細なスペクトル形状についても議論が可能な段階にまで達しています。

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放射輸送コードの開発


 レーザープラズマ中でのEUV放射特性を正確に評価するためには、レーザーの吸収からプラズマの相変化、プラズマ中でのエネルギー輸送及びプラズマ中でのイオン価数分布と放射強度などを高い精度で計算する必要があります。レーザー総研のグループを中心として、放射流体コードの開発が進められ、コードの計算結果からEUV放射にとって最適な条件の指針が示されつつあります。

高効率EUV変換のためのプラズマ最適化
(EUV発光計算コードでのシミュレーション)

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高繰り返し高平均出力レーザーの開発


 EUV光源プラズマを生成するために不可欠な高繰り返し高平均出力レーザーの開発が、大阪大学とレーザー総研の研究グループによって進められています。フロントエンド部にはファイバーレーザーを用いた発振器と増幅器が設置され、主増幅部には半導体レーザー励起のNd:YAGが採用されています。均一性の高いレーザーパターンを得るために、熱効果補償技術が組み込まれています。現在までに、フロントエンド部・主増幅部の要素技術が確立され、5 kHz/5kWに向けて研究が進められています。

高品質・高出力化の為の熱効果の補償

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プロジェクト体制

プロジェクトリーダー  井澤靖和(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター長)
プロジェクト副リーダー 宮永憲明(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター教授)

研究課題の分担

(1) EUVプラズマデータベースの構築
a) EUVターゲット開発と実験データベースの構築
 a-1) 原子データベース構築と高効率低密度化ターゲットの研究開発(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)

再委託研究:
 a-2) 高効率キセノンクライオターゲットの研究(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所)
 a-3) ナノ構造ターゲットの開発とプラズマ密度制御によるLPPの最適化
   (九州大学システム情報科学研究院)
 a-4) EUV光源の絶対スペクトル計測の研究
   (宮崎大学工学部)


b) 理論・シミュレーションデータベースの構築
 b-1) 輻射流体コードの研究開発とEUV高効率化の指針提供
   (大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)
 再委託研究:
 b-2) GRASPコードを用いたエネルギーレベル計算と輻射係数の研究
   (北里大学医学部)
 b-3) HULLACコードを用いた詳細輻射原子モデルの構築
   (日本原子力研究所関西研究所光量子科学研究センター)
 b-4) RCI原子コードを用いた多価イオンのエネルギーレベルの研究
   (奈良女子大学理学部)
 b-5) X__コードを用いた原子モデルと平均化手法の開発
   (山梨大学大学院医学工学総合研究部)
 b-6) キセノンイオンのエネルギーレベル計測と平均原子モデル構築
   (核融合科学研究所研究・企画情報センター)
 b-7) ECRイオン源を用いた高電離キセノンのエネルギーレベル計測
   (東京都立大学大学院理学研究科)
 b-8) 放射輸送コードの研究開発
   ((財) レーザー技術総合研究所)


(2) 高性能レーザー開発
 a) 高性能レーザー基盤技術の開発
   (大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)
 b) 高出力・高繰り返し化技術の開発とレーザー実用機の設計指針
   (大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)

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プロジェクトメンバー

大阪大学レーザーエネルギー学研究センター 
分担者:
(1) EUVプラズマデータベースの構築
a) EUVターゲット開発と実験データベースの構築
 a-1) 原子データベース構築と高効率低密度化ターゲットの研究開発
   西村 博明(教授)(責任者)
   乗松 孝好(教授)
   中井 光男(助教授)
   長井 圭治(助手)
   重森 啓介(助手)
   藤岡 慎介(助手)
   陶 業争(特任研究員)
   谷 勤翠(特任研究員)
b) 理論・シミュレーションデータベースの構築
 b-1) 輻射流体コードの研究開発とEUV高効率化の指針提供
   西原 功修(教授)(責任者)
   村上 匡且(助教授)
(2) 高性能レーザー開発
 c) 高性能レーザー基盤技術の開発
 d) 高出力・高繰り返し化技術の開発とレーザー実用機の設計指針
  中塚 正大(教授)(責任者)
  藤田 尚徳(助教授)
  椿本 孝治(助手)
  藤本 靖(助手)
  吉田 英次(技術専門職員)
  協力者:
  西川 亘(岡山大学工学部 助手)
  河村 徹(東京工業大学総合理工学研究科 講師)
  奥野 智晴(博士前期課程)
  蒲田 幸平(博士前期課程)
  上田 修義(博士前期課程)
  安藤強史(学部)
  蔵山寛人(学部)

兵庫県立大学高度産業科学技術研究所
  分担者:
 a-2) 高効率キセノンクライオターゲットの研究
   望月 孝晏(所長、教授)(責任者)
   宮本 修治(助教授)
   天野 壮(助手)
   井上 隆博(博士研究員)  
   協力者:
   下浦 厚志(企業委託研究員)
   福垣 啓介(企業委託研究員)
   衣笠 浩章(学部)
   芦田 経久(学部)

機関名:九州大学
  分担者:
 a-3) ナノ構造ターゲットの開発とプラズマ密度制御によるLPPの最適化
    岡田 龍雄 (システム情報科学研究院 教授)(責任者)
    内野 喜一郎 (総合理工学研究院 教授)
    高橋 昭彦 (医学部保健学科 助教授) 
  協力者:
    田中 博樹 (大学院システム情報科学 博士後期課程1年)
    秋永 浩二 (大学院システム情報科学 博士前期課程1年)

機関名:宮崎大学
  分担者:
 a-4) EUV光源の絶対スペクトル計測の研究
    窪寺 昌一 (助教授)
    東口 武史 (助手)
    佐々木 亘 (産学官連携研究員)
    ラジヤグル チラグ (産学官連携研究員)
  協力者:
    古賀 方土 (博士前期課程)
    守田 雄亮 (博士前期課程 )
    森本 琢磨 (博士前期課程 )
    川_ 圭太 (学部)
    道場 直人 (学部)
    田 雅也 (学部)
    舩越 昭徳 (学部 )
    宮原 亨 (学部)

機関名:北里大学
  分担者:
 b-2) GRASPコードを用いたエネルギーレベル計算と輻射係数の研究
    小池 文博 (医学部物理学 助教授)
  協力者:
    星野 坦之 (日本工業大学教授)
    Stephan Fritzsche (ドイツ Kassel大学教授)
    博田 竜史 (北里大学医療系研究科 博士大学院生)

機関名:日本原子力研究所関西研究所光量子科学研究センター
  分担者:
 b-3) HULLACコードを用いた詳細輻射原子モデルの構築
    佐々木 明 (副主任研究員)

機関名:奈良女子大学
 分担者:
 b-4) RCI原子コードを用いた多価イオンのエネルギーレベルの研究
    香川 貴司 (教授)(責任者)

機関名:山梨大学
 分担者:
 b-5) X__コードを用いた原子モデルと平均化手法の開発
    藤間 一美 (助教授)(責任者)

機関名:核融合科学研究所
 分担者:
 b-6) キセノンイオンのエネルギーレベル計測と平均原子モデル構築
    Richard More(教授)(責任者)
 協力者:
    加藤 隆子(教授)
    村上 泉(助教授)
    佐藤 国憲(助教授)
    鈴木 千尋(助手)
    舟場 久芳(助手)
    小原 朋幸(博士後期)

機関名:東京都立大学
 分担者:
 b-7) ECRイオン源を用いた高電離キセノンのエネルギーレベル計測
    田沼 肇(助手)(責任者)
 協力者:
    渋谷 えみ(学部)

機関名:財団法人レーザー技術総合研究所
 分担者:
 b-8) 放射輸送コードの研究開発
    内田 成明(主任研究員)
    古河 裕之(研究員)
    砂原 淳(研究員)
    島田 義則(研究員)
    山浦 道照(研究員)
    佐伯 拓(研究員)
    本越 伸二(研究員)
    ハイク・コスロービアン(研究員)
    谷口 典洋(研究員)
    藤田 雅之(研究員)
    今崎 一夫(研究員)

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   お問い合わせ先 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター EUV担当
           電話06-6879-8704 メールokumura-k@ile.osaka-u.ac.jp

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場合によっては、直ぐにお答え出来ないこともあります。

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