大阪大学 レーザー科学研究所

研究グループGROUPS

レーザー核融合システム(LFS)

グループの概要

当グループは大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻の協力講座です.未来の核融合発電の実現に向けてレーザー方式での核融合点火・燃焼を目指した研究開発を行っています。
太陽などの宇宙で輝く恒星では核融合反応によって莫大なエネルギーが生み出され、光を放出しています。核融合反応とは、原子核同士が十分近づき、新しい原子核が生まれる反応のことを言います。核融合反応が起こると、新しい原子核が生まれると同時に、非常に大きいエネルギーが放出されます。このときに放出されるエネルギーで発電を行う方式が核融合発電です。核融合反応は、通常、地球上では起こりませんが、特殊な状況を作り出すことによって人工的に核融合反応を生み出すことができます。その中でも、巨大な超伝導コイルを用いて高温のプラズマを閉じ込める磁場核融合と、大型レーザーで高温、高密度のプラズマを作り出す慣性核融合の2方式が盛んに研究されています。

研究室HP

研究内容

1.ターゲット開発 

ターゲットとは核融合の燃料です。レーザー核融合では高温、高密度のプラズマを作り出すため均一にレーザーを照射する必要があります。そのため、燃料ターゲットにも厳しい条件が求められます。当グループでは、発電炉で用いるようなクライオ(極低温)ターゲットの製造方法や、基礎実験のためのトレーサーを含んだプラスチック製のターゲットの開発などを行っています。

図1 実験用高速点火ターゲット

2.発電炉システム

核融合発電炉の中の環境は特殊で、場合によっては材料に過酷な環境となります。核融合発電を実現するためには、このような環境下でもきちんと炉をコントロールするための開発が必要です。当グループでは、燃料を供給する装置(インジェクション装置)の開発や高強度レーザーやプラズマ、高エネルギー中性子に対応する光学機器や炉壁へのダメージ、測定装置の開発を行っています。

図2 インジェクション装置

3.光学材料の放射線損傷

レーザー核融合では、レーザー光を用いることから、多岐にわたる光学材料が用いられます。これらは中性子、ガンマ線といった放射線にさらされると損傷が起こり、不透明になってしまいます。また、現在問題となっている原子力発電所の廃炉作業では、遠隔操作に不可欠なカメラが用いられ、そこに使用されるレンズにも損傷が起こります。一般的なものから、新たに開発したものまで、様々な光学材料の放射線の損傷を明らかにし、核融合炉の開発、原子力発電の廃炉への貢献を目指しています。

図3 ガンマ線未照射(左)と照射済(右)の光学ガラス(BK7)

メンバー

重森 啓介 教授
山ノ井 航平 准教授
乗松 孝好 特任教授/名誉教授
岩本 晃史 招へい准教授(核融合科学研究所)

 

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