EUV光(極端紫外光)放射効率3%の達成
大阪大学のグループは、球対称配置の激光XII号レーザーと球状のスズ・ターゲットを用いてエネルギーの損失を抑制することで、入射レーザー光から極端紫外光(EUV光)への変換効率として最高記録の3%を達成しました。この成果により、実用機に要求される出力を達成が可能であることが実証されました。
様々な照射強度における球状スズターゲットからの広帯域放射スペクトル
→トップへ戻る
ナノ多孔質酸化スズ製造法の確立
EUV放射効率の高効率化にはターゲット材の低密度化が有効であると考えられています。大阪大学のグループは、ナノ微粒子とスズ化合物の混合液を使い、固体の酸化スズに対しておよそ10%の密度を有する低密度酸化スズの製造に成功しました。
ポリスチレン微粒子と多孔質酸化スズ
→トップへ戻る
キセノン固体ターゲットからのEUV放射の高効率化
兵庫県立大学の研究グループは、キセノン固体ターゲットに照射するレーザー条件を変化させることで、キセノンプラズマからのEUV放射効率が向上することを明らかにしました。キセノンプラズマはEUV集光ミラーへの汚染が少ない光源として期待されています。
回転ドラム式クライオキセノンターゲットEUV光源の可視光発光
炭酸ガスレーザー生成プラズマからのEUV放射を観測
九州大学の研究グループでは、波長10.6ミクロンの炭酸ガスレーザーを用いた場合でも、YAGレーザーで生成されるプラズマと遜色ないEUV放射効率が得られる領域が存在することを確認しました。炭酸ガスレーザーは、YAGレーザーと比べて安価であり、光源の低コスト化につながる重要な成果です。
ターゲットからのイオン放射特性を観測
宮崎大学のグループは、レーザー生成プラズマから放出されるイオンを計測し、イオンエネルギー及び方向分布の原子番号依存性を明らかにしました。この成果は、デブリによるEUV集光ミラーの汚染問題を解決するための指針を与えるものです。
詳細原子コードによるEUV放射物理の解明
多電子イオンからのEUV放射スペクトルを正確に評価するためには、詳細な原子過程モデルを取り入れた原子コードの開発が不可欠です。日本原子力研究所、北里大学、奈良女子大学、核融合科学研究所の連携の下、様々なコードを用いてキセノンイオンからの放射スペクトルが計算されています。これらの計算結果と、東京都立大学のECR(電子サイクロトロン共鳴)型イオン源を用いて実験的に得られた単価数キセノンイオンからの放射スペクトル、及び核融合科学研究所のLHD(大型ヘリカル装置)で生成したキセノンプラズマからの放射スペクトルとの比較・検討が進められ、微細なスペクトル形状についても議論が可能な段階にまで達しています。
→トップへ戻る
放射輸送コードの開発
レーザープラズマ中でのEUV放射特性を正確に評価するためには、レーザーの吸収からプラズマの相変化、プラズマ中でのエネルギー輸送及びプラズマ中でのイオン価数分布と放射強度などを高い精度で計算する必要があります。レーザー総研のグループを中心として、放射流体コードの開発が進められ、コードの計算結果からEUV放射にとって最適な条件の指針が示されつつあります。
高効率EUV変換のためのプラズマ最適化
(EUV発光計算コードでのシミュレーション)
→トップへ戻る
高繰り返し高平均出力レーザーの開発
EUV光源プラズマを生成するために不可欠な高繰り返し高平均出力レーザーの開発が、大阪大学とレーザー総研の研究グループによって進められています。フロントエンド部にはファイバーレーザーを用いた発振器と増幅器が設置され、主増幅部には半導体レーザー励起のNd:YAGが採用されています。均一性の高いレーザーパターンを得るために、熱効果補償技術が組み込まれています。現在までに、フロントエンド部・主増幅部の要素技術が確立され、5
kHz/5kWに向けて研究が進められています。
高品質・高出力化の為の熱効果の補償
→トップへ戻る
|