■ 学術創成成果報告書完成のお知らせ

はじめに

 超高強度レーザーとプラズマとの相互作用による超高エネルギー密度状態の発生とその中での物理現象を解明するため、科学研究費補助金「ペタワットレーザーによる高エネルギー密度プラズマの研究」を平成15年4月に開始し、3年間が経過しました。この間、九州大学、兵庫県立大学、摂南大学、京都大学、日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門、核融合科学研究所、宇都宮大学、及びネバダ大学レノ校や北京・物理学研究所等の共同研究グループの協力を得て、高エネルギー電子やイオンの発生、レーザー伝播物理実験や理論・シミュレーション研究を進めております。実験では、激光ペタワットレーザーやOPCPA化と誘電体回折格子を導入し、高性能化した激光MU号レーザーを用いて、高エネルギーイオンの発生や電子輸送の基礎実験をおこなった。電子輸送実験では、固体表面に沿った電子伝播が明らかにされており、コーンターゲット高速点火の研究の基盤のひとつを確立しております。理論・シミュレーション研究では、昨年度末までに完成した輻射流体シミュレーションコード(PINOCO)、相対論的フォッカープランクコード(FIBMET)及び集合粒子コード(FISCOF)を統合コードFI3により、多階層のペタワットレーザープラズマの物理現象の解明を進めています。特に、この解析により高エネルギー電子が密度ジャンプを通過する時のポテンシャルの形成と高エネルギー電子の閉じ込め効果の重要性が明らかになっております。以上のような話題を中心に、平成17年度のペタワットレーザープラズマ研究の成果を報告書としてまとめましたので、御高覧下されば幸いです。

 平成18年度中にはプラズマ実験を積み重ね、高エネルギー電子やプロトンの発生等の研究を一層進め、100MeV超の粒子加速を明らかにします。また、コーンターゲットを用いるエネルギー密度の増幅実験、超高電子流の自己組織化の研究等を継続し、統合コードFI3によるシミュレーション研究を進め、ペタワットレーザープラズマの総合的理解に努めたいと思っておりますので、これからも御指導、御支援お願い致します。

平成18年3月

大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

三間 圀興       

 

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