マトリクス共創推進センター
概要
- レーザー技術を基盤に、学術連携、国際連携、施設連携、産学連携の一体的な運営を行える体制を整備し、大阪大学はもとより我が国のレーザーのポテンシャルを最大限に活用することで、分野、プロジェクト、機関、部局の壁を乗り越えた「知の融合」の実現を目指します。
- レーザー科学に関する国際的な中核拠点としてコミュニティならびに機関内の多様な頭脳循環による新たな知の創造とイノベーションの具現化に貢献します。
令和4年6月1日発足
図1 附属マトリクス共創推進センターの構成図
組織
マトリクス戦略推進室
レーザー科学研究所では、これまでも学術連携、国際連携、施設連携、産学連携といった連携を実施してきました。これらの連携を縦軸あるいは横軸として組み合わさる(マトリクス)ことで、これまでにない連携が生まれます。マトリクス戦略推進室のもとに、このマトリクス的な連携が有機的に推進できるように、各連携部門間を戦略的に支援しています。
最近のマトリクス連携の例としては、企業・国外施設との協力覚書調印(国際連携、施設連携、産学連携)や海外研究者も参加する国外の文化財の科学的調査(国際連携、学術連携)などがあります。
学際連携部門
現在、分野を超えて異なる学術分野が連携して新たな課題を解決する、異分野融合の動きが盛んです。特に、理系分野に留まらず、文系分野との融合を行う文理連携は重要なものとなっています。
文理連携の研究の例として、文化財の分析(図2)があります。文化財の分析は様々な手法で行われていますが、模様や形状といった2次元情報の計測も重要です。特に、文化財の持つ「意味」を議論するには、一つの文化財内の模様評価、多数の文化財同士の模様比較といったデータを有機的に結合することが求められます。これは、実は基礎科学や産業界のような場で求められる分析手法と同じであり、産学連携で培った分光技術が新たな学際分野への応用にも展開する実践例といえます。
図2 レーザー科学と人文学との学際連携
産学連携部門
21世紀に入りレーザーの重要性が増しており、様々な分野への応用が始まっています。レーザー科学研究所は超大型レーザー施設だけでなく、半導体レーザー、ファイバーレーザー、固体レーザーなど様々な光源を有し、X線からテラヘルツまですべての光領域をカバーしております。応用についてもレーザー加工、計測、イメージング、新材料・物質創成から医療、ロボット、自動車、農業、エネルギー分野まで幅広い貢献が可能です。また、レーザーで生成するプラズマは、高温、高密度、高圧力であり、現在広く利用されている放電プラズマとは異なる可能性を秘めています。
最先端研究(図3レーザー研100の冊子参照)を行うとともに、3つのフォーラム(図4)を推進することで、産業界との共同研究だけでなく共同研究部門も増加、様々な連携研究が加速しています。
図3 レーザー研100冊子
図4 3つのフォーラムによる協奏の場形成
施設連携部門
コンピューター性能及び情報科学の飛躍的進展によって、デジタル技術によるレーザー科学の変革(Digital Transformation: DX)が起こっています。マトリクス共創推進センターでは、パワーレーザー施設のリモート化やスマート化を進め、多様な利用者が国内外に存在するパワーレーザー施設を横断的に活用できるネットワーク化を推進しています(図5)。更に,研究データの共有と効率的な利活用に向けて、定期的な技術講習会を開催する等、レーザー科学におけるオープンサイエンス環境の構築にも取り組んでいます(図6)。
図5 国内のパワーレーザー施設連携と海外のパワーレーザー連携との互恵的ネットワークの構築
図6 オープンサイエンスに関するオンライン講習会
国際連携部門
世界最高水準の先端大型レーザー装置を競争力の核として、様々なレーザー技術を駆使し実現される高エネルギー密度状態の物質科学を国際的な共同利用・共同研究で探究していくためのベースとなる国際連携を推進しています。世界の研究者との連携の中で、パワーレーザーの学術的展開を行っています。
これまで国際的なハブ機能強化として、以下5つの海外研究機関に海外連携オフィスを設置しました。(図6)
図6 世界に広がる大阪大学レーザー科学研究所のネットワーク
最新の国際連携活動
2024年7月18日 上海光机所との学術交流協定調印式典が執り行われました
2024年3月11日、在大阪スイス領事館長 Dr Felix Moesner氏が大型レーザー装置を見学
2024年3月1日、兒玉所長、千徳副所長がリバモア研究所を訪問
2024年2月2日、兒玉所長、千徳教授がドイツHZDR放射線物理研究所を訪問
2023年11月27日、フランス大使館科学技術部ご一行が大型レーザー装置を見学
2023年9月1~10日、学生のZhang Jiaqiと山ノ井航平准教授がチェコ科学アカデミー物理学研究所にて共同研究実験を実施
2023年9月12日、アルゼンチン国立気象局長官御一行が大型レーザー装置を見学
メンバー
筑本 知子 | 教授 | センター長 |
清水 俊彦 | 准教授 | マトリクス戦略推進室長、学際連携部門長 |
有川 安信 | 准教授 | マトリクス戦略推進室 |
山ノ井 航平 | 准教授 | マトリクス戦略推進室 |
Gelleta John | 助教 | マトリクス戦略推進室 |
南部 誠明 | 助教 | マトリクス戦略推進室 |
田丸 裕基 | 助教 | マトリクス戦略推進室 |
千徳 靖彦 | 教授 | 国際連携部門長 |
中嶋 誠 | 准教授 | 産学連携部門長 |
藤岡 慎介 | 教授 | 施設連携部門長 |