ペタワットレーザーの開発と高性能化

超短パルスレーザーでは、レーザーエネルギーをピコ秒やフェムト秒という極めて短い時間に圧縮することで、瞬間的に非常に大きなピークパワーを得ることができます。大阪大学レーザー科学研究所のLFEXレーザーは、ペタワット級のピークパワーを発生できる大型レーザー装置であり、高エネルギー密度科学や高強度場科学の重要な研究基盤となっています。 ペタワットレーザーをさらに高性能化するためには、単に出力を高めるだけでは不十分です。大口径の回折格子、高耐力の光学薄膜、波面制御、スペクトル位相計測、パルス波形整形、時間コントラスト改善など、多くの基盤技術が必要になります。これらの技術により、レーザー光をより短く、より高品質に、より安定にターゲットへ集光することが可能になります。 特に重要なのが、メインパルスの前に存在する微弱なノイズ成分を抑える「時間コントラスト」の改善です。時間コントラストが悪いと、メインパルスが到達する前にターゲット表面が変化してしまい、実験の再現性や集光強度が低下します。本研究では、非線形光学効果やパルス整形技術を用いて、メインパルスの品質を高める技術開発を進めています。 これらの研究により、ペタワット級レーザーを基盤とした、より高強度・高安定なレーザーシステムの実現を目指しています。将来的には、レーザー駆動粒子加速、高輝度X線・量子ビーム発生、レーザー核融合、高エネルギー密度物質科学、宇宙物理を模擬する実験室天文学などへの展開が期待されます。

  
大阪大学レーザー科学研究所のペタワットレーザーLFEX

  
高出力レーザーを実現するための大口径回折格子、光学薄膜、波形整形、スペクトル位相計測などの基盤技術


メインパルス周辺のノイズ成分を抑える時間コントラスト改善技術の例

受賞
高エネルギー出力ペタワットレーザーLFEXの開発と今後の展望に関する研究は、2011年にレーザー学会 進歩賞を受賞しました。