大阪大学 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 レーザーエネルギー学講座

光・量子エネルギー科学研究領域 (岩本研究室)

2022年12月、National Ignition Facility (米国)において世界初の制御核融合による点火・燃焼に成功しました。その成果から核融合発電は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源として期待されています。しかし、核融合炉の建設に必要な技術は未だ技術レベルが低くく、その技術レベルの向上が極めて重要な課題です。

このグループではレーザー核融合分野の重要な研究課題:クライオジェニック燃料ターゲット、ブランケットシステム、レーザー核融合炉設計、中性子計測など、を実施しています。また、核融合材料の研究や医療応用を目的とした中性子源の技術や中性子応用の研究も実施しています。電気電子情報通信工学専攻のレーザーエネルギー学講座(協力講座)に所属しています。研究はレーザー科学研究所において行っています。(レーザー科学研究所のフュージョンエネルギーダイナミクス(FED)グループとニュークリアフォトニクス(NP)グループが共同で研究しています。)

GALLERY

EVENTS

  • トゥール(フランス)において開催された2025年 慣性核融合科学とその応用に関する国際会議(IFSA2025)に参加しました。

  • 2月17日に卒業論文試問会があり、芦原さんと川内さんが自身の研究成果について発表を行いました。

  • ------

  • -------

RESEARCH

2040年代のレーザー核融合炉の実現を目指してレーザー核融合炉(Hyperion)の設計研究を行っています。

磁場閉じ込め型核融合炉は超伝導マグネットによる空間的な制約のためブランケット(トリチウム増殖・エネルギー変換)スペースが限られています。一方、レーザー核融合炉はブランケットに対する空間的な制約が少なく、比較的自由な設計が可能です。その利点を生かした設計研究を進めています。設計ではブランケットによるトリチウム燃料の製造~供給・使用~燃え残り回収~再利用のトリチウム循環とレーザー出力~ブランケットにおける中性子-熱変換~電気変換~核融合炉運転電力・送電のエネルギー循環を両立させることが必要です。電原理実証~商用炉まで段階的な開発を想定しています。

レーザー核融合炉用のブランケット研究:トリチウム増殖・エネルギー変換に関する研究を行っています。

レーザー核融合炉のブランケットには燃料となるトリチウムの増殖と発電のための中性子-熱変換の2つの役割があります。トリチウムの増殖にはLiの化合物や合金の使用が検討されていますが、長期間安定にトリチウムを製造する技術は確立されていません。また、トリチウムの増殖と同時に発電のためには熱の回収も必要です。そこでブランケットに使用される材料やブランケットの構造などの最適化研究を行っています。シミュレーションを使った予測と中性子源を使用する実験を実施しています。

レーザー核融合実験用のクライオジェニックターゲットの研究を行っています。

レーザー核融合炉の燃料は、液体または固体状態の水素同位体をプラスチックシェルに入れて供給する必要があります。それをクライオジェニックターゲットと呼んでいます。核融合反応を効率的に起こすためには、シェル内に重水素とトリチウムが均一に入っている必要があります。小型冷凍機を使用して極低温環境(20K付近)を作り、水素同位体燃料の液化や固化実験を行い、均一にするための方法やその均一性の評価手法について研究を行っています。また、固体や液体の状態をシミュレーションにより予測します。

レーザー核融合燃焼実験のためのピコ秒応答中性子計測器の開発を行っています。

レーザー核融合では核融合反応が始まり、点火して、さらに燃焼に変化する時に、どのように燃え広がるのか、または現状何が原因となって燃え広がらないのかということが解明されていません。我々はそれを実験的に観測し、それらの未解明現象を解明しようとしています。それを測定できるだけの時間・空間分解能が高い核融合中性子計測器の開発を行っています。EOポリマーと呼ばれる材料を用いて世界最高時間分解能ピコ秒の時間分解能を達成しようとしています。この研究には小型の超短パルスレーザー装置も用いており、学生がレーザー装置を自由に触りながら実験を行う環境が整っています。

小型レーザー装置による超高指向性中性子ビーム発生に関する研究を行っています。

小さな実験室内に収まる小型レーザー装置を用いて、手軽に高品質な中性子ビームを発生させることができれば、核融合に関する研究のみならず、中性子ラジオグラフィ、スピン偏極中性子の発生や、中性子核物理実験、がんだけを狙い撃ちする高効率ながん治療など多数の応用ができるようになります。我々が独自に開発した手法を基に、小型レーザー装置を使って高品質な中性子ビームを発生させる装置の建設を進めつつ、中性子発生のための高繰り返しターゲット供給装置の開発や専用の中性子計測器の開発などを行っています。少人数でも手軽に中性子発生実験ができる環境の構築を行っています。

Group members

  • 教授 岩本 晃史 (FED)

    准教授 有川 安信 (NP)

    招へい教授 前川 龍司 (FED)

    D1 山田 (NP)

    M1 向井 (NP)

    B4 芦原 (NP)

    B4 川内 (FED)

PUBLICATIONS

  1. A. Iwamoto, M. Tanaka, K. Shigemori, and R. Kodama, “Baseline design of laser fusion research reactor with MW class laser facility,” Nuclear Fusion, Vol.64 (2024), 086068.
  2. K. Iwano, J. Zhang, A. Iwamoto, Y. Iwasa, K. Shigemori, M. Hara, Y. Hatano, T. Norimatsu, K. Yamanoi, “Refractive index measurements of solid deuterium-tritium,” Scientific Report Vol. 12 (2022), 2223.
  3. A. Iwamoto, and R. Kodama, “Core size effects of laser fusion subcritical research reactor for fusion engineering research,” Nuclear Fusion, Vol. 61 (2021), 116075.
  4. A. Iwamoto, and R. Kodama, “Conceptual design of a subcritical research reactor for inertial fusion energy with the J-EPoCH facility”, High Energy Density Physics, vol.36 (2020), 100842.
  5. A. Iwamoto, T. Fujimura, T. Norimatsu, “Void free fuel solidification in a foam shell FIREX target”, Plasma and Fusion Research 15 (2020), 2404006.