大阪大学 レーザー科学研究所

研究グループGROUPS

核融合エネルギーダイナミクス(FED)

グループの概要

レーザー核融合反応によって発生した量子のエネルギーの一部は、形態などを変え、エネルギーや燃料として核融合炉内を循環しています。その両者を同時に成立させるレーザー核融合炉システムを構築することが課題です。核融合エネルギー利用の実現に向けて、レーザー核融合炉システムのエネルギーの動態について研究を行っています。

 

研究内容

1.ブランケット研究

核融合エネルギーを熱や電気など利用可能なエネルギーに変換すると同時に燃料を製造するブランケットは核融合炉にとって最も重要な要素の一つです。それらの機能のレーザー核融合炉への実装を目指して、ブランケット材料やその構成について研究を行っています。

図1 エネルギー変換シミュレーション用ブランケットモデル(左)、中性子フラックス(右)

[1] A. Iwamoto, and R. Kodama, “Core size effects of laser fusion subcritical research reactor for fusion engineering research,” Nuclear Fusion, 61 (2021), 116075

2.燃料製造技術の研究

レーザー核融合炉では高純度な燃料を固体の状態で供給します。ブランケットにおいて製造される核融合燃料を効率よく回収し、不純物を取り除く必要があります。燃料がブランケット内で製造され、ターゲットに供給されるまでの過程について実験やシミュレーションにより研究を行っています。

 

図2 燃料製造実験用中性子照射シミュレーション(左)、固体燃料層形成過程のシミュレーション(右)

[2] A. Iwamoto, et al., “Void free fuel solidification in a foam shell FIREX target”, Plasma and Fusion Research 15 (2020), 2404006.

3.レーザー核融合炉デジタルツイン

仮想空間にレーザー核融合炉を構築するために各要素のモデル化を進めています。特に、ブランケットは核融合炉の研究において重要な要素でありながら、核融合反応を利用した実験が未だ実施されていません。仮想空間においてトライ&エラーを繰り返すことでブランケット機能の精度を高め、核融合燃焼を利用できる段階ではブランケットを速やかに建設することを可能にします。

4.炉設計

炉設計活動はレーザー核融合炉の実現に必要な研究課題を明確にする唯一の方法です。レーザー核融合炉開発は研究炉~商用炉まで段階的に進めることになっています。これまでに現在の技術レベルで建設可能なメガワット級レーザーによる核融合研究炉の設計を完了しました。今後、レーザー核融合炉独自のアイデアを盛り込んだ商用炉の設計を進めていきます。

図3 メガワット級レーザーによる核融合炉(L-Supreme)の鳥瞰図

[3] A. Iwamoto, et al., “Baseline design of laser fusion research reactor with MW class laser facility,” Nuclear Fusion, 64 (2024), 086068.

メンバー

岩本 晃史 教授
前川 龍司 招へい教授
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