光・量子ビーム科学合同シンポジウム
「光・量子ビーム科学合同シンポジウム2024」開催のご報告
光・量子ビーム科学合同シンポジウム2024(OPTO2024)を2024年6月5-6日に関西光量子科学研究所で開催いたしました。
OPTOシンポジウムは、2016年より大阪大学レーザー科学研究所(阪大レーザー研)と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構関西光量子科学研究所(量研関西研)が合同で開催しており、両機関の連携協力体制をより強固なものとし、光・量子ビーム科学分野の研究開発を加速することを目的としています。本年度の参加者は142名(オンライン参加を含めると184名)でした。
講演では、次世代高強度レーザー開発を支える光材料の開発や、高強度レーザーによる極限天体現象に関する高強度レーザー利用による研究成果に加え、赤外自由電子レーザーによる高次高調波発生や、レーザー航跡場フェムト秒電子バンチのリアルタイム電気光学3D診断、安定的低発散Sub-MeV級電子発生など光・量子ビームの応用研究、更にレーザープラズマ極端紫外光源や超高感度NMR開発、高温超伝導などの医療、産業応用に波及する研究成果など、光・量子ビーム科学が展開する多様な研究の成果発表が8件あり、活発な議論がなされました。
初日の最後には、パワーレーザーDXの活動報告がありました。この中で「第2回 身近な研究DXコンテスト」受賞作品2件の受賞講演を行いました。詳細はPLDXホームページをご参照ください。https://powerlaser.jp/2024/06/post-3452/
パワーレーザーコミュニティ会議では、量子科学技術研究開発機構所 河内副理事がコーディネーターをつとめ、大阪大学レーザー科学研究所兒玉所長からレーザー科学研究所における高強度光繰り返しレーザーJ-EPOCH計画関連の報告がされました。更に若手育成のための拠点事業に関する報告では、会場の若手研究者から質問が出るなど、会場満席の聴衆が参加し、活発な議論が行われました。
ポスターセッションでは、それぞれの1年の研究の成果を発表・議論しあいました。現地開催が再開されて三回目のシンポジウムとなりましたが、本年度の発表件数は151件とコロナ前の活気を取り戻したように思えます。光・量子ビーム科学コミュニティの研究者が一同に会する本会では、久しぶりに顔を合わせる研究者同士も多くみられ、白熱した議論が交わされました。
また、大阪大学近藤賞には、論文賞2名・技術貢献賞2名が選出されました。記念講演が行われ、とても刺激的な、時には笑いも起こるような楽しい講演が行われました。
ポスター発表においてベストポスター賞に2名が選出され表彰状が贈られました。選出された2名はどちらも一般の発表で自ら応募された学生の方でした。この若い研究者たちが、レーザーの次の時代をけん引していってくれることを期待しています!
プログラム
*OPTO2024シンポジウム Programはこちら
6月5日(水)
〇講演1 東口 武史(宇都宮大学)
高繰り返し動作向けターゲットの開発とレーザー生成プラズマ光源に関する研究
〇講演2 藤岡 加奈(大阪大学レーザー科学研究所)
次世代高機能光材料 − レーザー照明、高強度レーザー、可視域レーザー
〇講演3 根来 誠(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター)
光励起三重項を用いたDNPによる超高感度MRI/NMR
〇講演4 羽島 良一(QST関西光量子科学研究所)
超放射領域で動作する赤外自由電子レーザーによる高次高調波の生成
〇活動報告 藤岡慎介 (大阪大学レーザー科学研究所)
PLDX活動報告
6月6日(木)
〇講演5 田中 周太(青山学院大学)
高強度レーザーを用いた極限天体現象の模擬実験
〇講演6 黄 開(QST関西光量子科学研究所)
レーザー航跡場フェムト秒電子バンチのリアルタイム電気光学3D診断
〇講演7 森 道昭(QST関西光量子科学研究所 )
マイクロキャピラリーターゲットによる臨界密度近辺での安定的低発散Sub-MeV級電子発生
〇コミュニティ会議
〇講演8 筑本 知子(大阪大学レーザー科学研究所)
高温超伝導応用の進展とキーポイント
第18回大阪大学近藤賞
<論文賞受賞者>
森田 大樹(宇都宮大学 助教)(左から二番目)
題目:「量⼦分⼦動⼒学計算に基づくレーザー駆動パルス強磁場拡散の数値解析に関する研究」
神田 夏輝(理化学研究所 光量子工学研究センター 研究員)(右から二番目)
題目:「マルチテラヘルツパルス電場ベクトル波形の時間分解計測手法の開発」
<技術貢献賞>
藤 寛 (大阪大学レーザー科学研究所)
山本 和久 (大阪大学レーザー科学研究所)(一番右)
題目:「青色半導体レーザーを用いた害虫の撃墜駆除技術の開発」
2023ベストポスター賞
<受賞者以下2名>
- 松浦 豪介 氏(神戸大学大学院工学研究科 )(写真左)
- 合原 輔佑太 氏(神戸大学大学院海事科学研究科 )(写真右)
ポスターサイトに掲載されたポスターは151件、その内ベストポスター賞対象のものは35件でした。
(ポスタープログラムはこちら)
さあ!来年はいよいよOPTO10周年!
来年はより一層特別なシンポジウムになればと模索しております。
(OPTO担当:有川・田中・佐藤)