出張報告:ルーマニアELI-NP出張報告(広島大学・羽佐田拓海)
本研究では、光子を用いた軽い暗黒物質の探索実験を目指しています。SAPPIRES国際共同実験では、極限レーザー核物理研究所(ELI-NP)にて探索に向けた準備を進めており、今回私たちは2023年10月4日から11月1日まで同研究施設へと出張しました。本出張では、探索実験を行う上で必須となる非放物面鏡の較正を行うことが目的でした。まず、すべての光学物品を超音波洗浄し、可視光CWであるHe:Neレーザーを用いて6インチ規格の巨大なミラー群をアライメントしていきました。ミラーの調整には真空対応自動ステージを用いてアライメントすることもありました。非放物面鏡ミラーの調整は集光点をカメラで見ることで行い、今回はまずまずの精度で集光することができました。また本実験を通して、現セットアップにおける課題をいくつか発見し、議論を交わすことでその多くを解決しました。[図1]
滞在期間中には光学系の構築以外にもいくつかの貴重な経験をしました。私は10月9日、10日にかけてELI-NPが主催するワークショップに参加しました。ここでは、様々な研究者が研究の報告を行い、僕自身も自身が主体となって行っている3beam衝突実験の宣伝をすることができました。また幸いにも、私たちは滞在する期間中において、ELI-NP建設10周年記念の講演会にも参加することができました。ここでは、2018年度ノーベル賞受賞者であるGérard Mourou氏の講演を聞くことができ刺激を受ける機会となりました。[図2]
[図1] 探索光学系アライメントの様子 [図2] Gérard Mourou氏の講演の様子