JSPS研究拠点形成事業:パワーレーザーの国際連衡による超域プラズマ科学の国際研究拠点

活動ACTIVITIES

出張報告:フランス・LULI(大阪大学・蔵満康浩)

LULI2000レーザーを使った実験室宇宙物理の実験提案が採択され、久しぶりにフランスで実験してきました。
私がレーザー研にいた頃は、毎年誰かの実験に相乗りする形でLULIでの実験に参加していた気がしますが、台湾にいる時に参加したのが最後で、コロナで往来が中断し、久しぶりのLULI実験でした。
オランダで開催された超新星の会議(以前の報告にリンク)の後に、3月10日と11日にLULIを訪問し実際の実験チャンバーの状況を確認しました。今回の実験は「宇宙磁場の起源に関する実験的研究」です。以前、LULIで行った実験では、無衝突衝撃波下流で不安定生起源の乱流電場を観測しましたが、磁場である可能性も当時から考えられていました。磁場が存在しない状態から有限の磁場を生成することは、長年の謎である宇宙磁場の起源に迫る研究を可能にします。今回は以前の実験に用いた光学計測とイオンラジオグラフ計測にイオンの速度ベクトル計測を用いることで、電場と磁場の分離を目指した挑戦的な実験になります。
実験エリアを確認したときは、正直に空っぽすぎて驚愕でした。チャンバー内はもちろん、外の光学定盤を空っぽで、3月17日からのセットアップでゼロから作ることを覚悟しました。
写真1は、受け入れ研究者のBrunoで、レーザーのアライメントをはじめ、朝8時から我々が実験室に残れる夜7時まで4週間付き合ってくれました。実験でよくあることですが、レーザーやカメラのトラブル等もあり、想定よりセットアップに時間がかかりましたが、なんとかショット初日にイオン計測を行えました。その後も様々なトラブルを乗り越え、不安定性を示唆する光学計測とイオン計測に成功しました。
写真2は、まだ余裕のあったセットアップ1週目で学生に指導する境くんと右から黒地くん、草野くん。この後やっぱりちょっと遅れてしまいました。
私は大学の業務でショット残り1週間を残して帰国しますが、あとはイオンのフラックスの調整と、不安定性の同定に必要なレファレンスデータの取得、不安定性によらない磁場生成データの取得、それぞれの時間発展を抑えればいい論文が何本か書けると思います。
写真3は、ショット1週目の最後の集合写真。左上から草野、黒地、境、Gabriel, Bruno,下に写って私、左に向かって二階堂、玉城、飯田(敬称略)、それから写真を撮ってくれた北村くん、長年の共同研究者のMichelが実験の主なメンバーになります。なによりドクターの二階堂くんのD論のデータが取れたことが、次の世代を育てる意味でも一番よかったかなと思います。
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