参加報告:IFSA2025① (阪大・村上)
令和7年9月14日から19日にかけて、フランス・トゥールにて第13回「慣性核融合科学とその応用に関する国際会議」(13th International Conference on Inertial Fusion Sciences and Applications: IFSA)が開催された。本会議は1999年に第1回が開かれて以来、日米仏の持ち回りで2年ごとに開催されており、今回は節目となる第13回にあたる。
初日の9月14日(日)にはキックオフ会合として、日本学術振興会(JSPS)の拠点形成事業「Core-to-Core Program」に基づくミーティングが行われた。ここでは、レーザー核融合に関する学術研究や民間での研究活動、パワーレーザー開発、レーザー駆動中性子の生成と応用、さらには強磁場科学に至るまで、幅広い分野で最新成果の報告と活発な意見交換が行われた。
続く本会議(15日〜19日)では、慣性核融合エネルギー(Inertial Fusion Energy, IFE)に関わる多様な分野から数多くの興味深い研究発表があった。特に印象的であったのは、2022年に米国・国立点火施設(NIF)が人類史上初のレーザー核融合点火を達成したことを契機として、世界各地で新たなスタートアップ企業が次々と誕生した点である。我が国からはEX-FusionならびにBlue Laser Fusionが参入しており、それぞれ独自の戦略に基づいた小回りの効いた研究開発を展開している様子が報告された。
全体を通じて、本会議の大きな意義は、NIFの成果とその後の飛躍的進展を背景に、「レーザー核融合はもはや夢物語ではなく、現実に実現可能なプロジェクトである」という確信が国際的に共有され始めている点にあると感じられた。これまでの「物理」中心の研究段階から、「工学」へと着実にステージを移行しつつあることを実感できたのは、参加者にとって感慨深いことであった。
次回のIFSAは2027年、日本で開催されることが決定しており、開催地は広島と告げられ閉会となった。
