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出張報告:ルーマニアELI-NP研究所②(大阪大学・鈴木佑生丸)

大阪大学 核物理研究センターの鈴木佑生丸さんがルーマニア・ELI-NP 研究所を訪問されました。以下、鈴木さんの報告です。

“252Cfの⾃発的核分裂における放出中性⼦・ガンマ線・分裂破⽚核の⾓度相関測定実験の準備”

2026年1⽉12⽇から2⽉10⽇の期間、252Cf の⾃発的核分裂に関する実験準備のためELI-NP 研究所に滞在しました。滞在中は、Dimiter Balabanski ⽒、Pär-Anders Söderström⽒、Asli Kusoglu ⽒、Sangeeta Dhuri ⽒、Mihai Cuciuc⽒、Soichiro Aogaki⽒らと実験に関する議論と5⽉からの測定実験に向けた実験準備を進めました。
本実験は252Cfの⾃発的核分裂に伴って放出されるγ線や中性⼦、分裂破⽚核を検出し、放出中性⼦やγ線の⾓度相関をはじめとする核分裂に伴う物理の観測を⽬指した実験です。核分裂現象は今からおよそ85年前に発⾒されましたが、その詳細な理解はまだ成されておらず、今回の測定は核分裂現象の多⾓的な研究を可能にし、分裂時の3D 情報の獲得や理論モデルの向上が期待されています。実験はELI-NP 研究所のE9実験室にあるELIGANT-GN と分裂破⽚核検出⽤のシリコン検出器を組み合わせたセットアップを⽤いて⾏われます。
ELIGANT-GN は15本のLaBr3:Ce 検出器と19本のCeBr3検出器合わせて34本のγ線検出器、36台の液体シンチレータと25台のLi ガラスシンチレータ合わせて61台の中性⼦検出器で構成された検出器群です。今回の実験準備では、これら合計95台の検出器の設置と線源を⽤いたシグナルチェックを⾏い、2026年5⽉〜9⽉の5カ⽉に渡って⾏われる予定の測定に向けて検出器の調整を⾏いました。

私にとって核分裂の測定と中性⼦検出器を⽤いた実験への参加は初めてであり、新たな知識や技術を⾝につけることができたと同時に物理学⽣として多くの刺激を受けました。また、ELI-NP には様々な国籍の研究員が在籍しており、国境を超えて科学の課題に取り組むことの素晴らしさを改めて実感しました。現在ELI-NP ではLaser Compton backscattering (LCS) 法を⽤いたγビームラインの建設が進んでおり、完成後にはELIGANT-GN と組み合わせて実験が⾏えるようになる予定です。私が参加しているPANDORA プロジェクトもビームライン完成後にこのE9での実験を計画しているため、プロジェクトの⼀員として先んじてELIGANT-GN を⽤いた実験に参加して得たことを今後に活かして参りたいと思います。

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