JSPS研究拠点形成事業:パワーレーザーの国際連衡による超域プラズマ科学の国際研究拠点

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出張報告:アメリカ IC-IFE(大阪大学・瀧澤龍之介)

2026年5月20日から22日にかけて、米国カリフォルニア州リバモアのUniversity of California Livermore Collaboration Center(UCLCC)で開催された国際物理ワークショップ「Innovative Concepts for Inertial Fusion Energy(IC-IFE)2026」に出席し、口頭発表を行った。本ワークショップはカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)およびローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の主催、日米核融合協力事業の支援のもとに開催されたものである。慣性核融合エネルギー(IFE)の実現に資する「革新的概念」を主題に掲げ、日米欧の主要研究機関から理論・実験・シミュレーションの第一線の研究者が一堂に会した。会期中は最先端の成果が数多く報告され、各セッションには十分な討議時間が設けられて活発な議論が交わされた。口頭発表に加え、ポスターセッションやレセプション・バンケットを通じた研究者間の交流も重視された構成であった。

プログラムは、磁化レーザー核融合、warm dense matterにおけるイオン阻止能と輸送、電子・陽子・イオンの各方式による高速点火、重イオン核融合、パルスパワー駆動の磁化ICF、レーザーイオン加速・収束など、IFEに関わる広範なテーマで構成された。開会プレナリーでは、IFE研究の到達点と発電実証に向けた加速の見通しが俯瞰的に示された。磁化レーザーICFのセッションでは外部磁場による点火利得向上の可能性と輸送物理が、イオン阻止能のセッションではブラッグピーク近傍のwarm dense matterにおける陽子阻止能の測定など、点火・燃焼の定量評価に資する成果が報告された。とりわけ高速点火分野では、熱波駆動高速点火による高利得レーザー核融合、光蓄積型エンハンスト・キャビティ・レーザーを用いたIFE研究の展望、高速点火用圧縮燃料コアの形成、コーン・イン・シェル爆縮の物理など、当方の研究と関連性の高い発表が並んだ。また、構造化フォームターゲットを用いた高フラックスイオン加速や陽子ビーム収束のスケーリングに関する一連の報告は、自身が取り組むターゲット設計に直接的な示唆を与えるものであった。さらに、欧州における高出力レーザー核融合研究施設の概念設計や重イオン慣性核融合の再評価など、多様な駆動方式に関する発表もあり、IFE実現に向けた手法の広がりを把握できた。ポスターセッションでも、診断技術やシミュレーションコードに関する発表を中心に、個別に踏み込んだ議論を行うことができた。

最終日の電子加速に関するセッションにおいて、「High-Contrast Laser Interaction for Efficient Heating of Dense Plasma(高コントラストレーザーによる高密度プラズマの効率的加熱)」と題して口頭発表を行った。高コントラストレーザーと固体密度プラズマとの相互作用に着目し、コーン型および構造化ターゲットによる吸収・エネルギー変換効率の向上、ならびにJ×B加速機構を通じた高密度プラズマの効率的加熱について、実験とシミュレーションの両面から報告した。発表後の質疑応答に加え、休憩時間にも複数の研究者と意見を交わし、解析手法やターゲット条件に関する有益なコメントを得た。今後の実験計画と数値解析に反映すべき具体的な視点を持ち帰ることができ、大きな収穫となった。

本ワークショップは、高速点火・イオン加速・磁化ICFといった当方の研究テーマと密接に関わる最新動向を網羅的に把握できる貴重な機会であった。構造化ターゲットや高コントラストレーザー相互作用に対する国際的な関心の高さを改めて認識するとともに、各国の取り組みと比較する中で、自身の研究の位置づけと今後伸ばすべき方向性を明確にすることができた。特にファストイグニッション方式の実証に向けては、レーザー加熱効率と高速電子・イオンの輸送に関する理解が鍵であることを再確認した。今回得られた知見と構築した人的ネットワークを、LFEX/GXIIレーザーを用いた実験計画およびシミュレーション研究の高度化に積極的に活かしていきたい。

会期中は、研究交流の合間に現地の食文化にも触れる機会があった。ステーキハウスではフライドポテトを添えたBBQポークリブ(バックリブ)を、朝食ではアメリカを代表する朝食ファミリーレストランチェーンIHOPの名物パンケーキ(いちご・バナナ・ホイップクリーム添え)とベーコンエッグ・ハッシュドポテトのセットを味わった。いずれも米国らしいボリュームで、現地ならではの体験となった。

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