大阪大学 レーザー科学研究所

研究グループGROUPS

パワーフォトニクス(PLP)

グループの概要

当グループは大阪大学大学院工学研究科・電気電子情報工学専攻・電気工学部門の協力講座です。大阪大学レーザー科学研究所に所在しており、他の研究室と連携しながら高強度レーザーの開発及び応用に関する研究を行っています。

高強度レーザーの開発では、光(レーザー)の時空間分布を自在に制御し、さらに世界最高パワーの超短パルスレーザーや高繰返し・高出力レーザーを実現するレーザー技術の開発を行っています。高強度レーザーの応用では、安心安全社会の基盤となる新時代の製造業(ものづくり革命)や医療・バイオなどに貢献するための研究を進めています。これらの研究内容を国内外の会議や学会誌で発表を行い、さらに特許取得を進める事などを通じて広く社会に貢献し、また博士前期・後期課程に在籍する学生の能力開発に繋げています。

写真1 PLPグループの研究概要:レーザの技術開発と応用

詳細は研究室のホームページをご覧下さい.

研究室HP

 

写真2 国際会議で発表する博士前期課程1年の学生@Moscone convention center, San Francisco, USA

写真3 海外の著名な研究者の招へいともてなし@石垣島

写真4 卒論生歓迎会 2018年4月@千里阪急ホテル

 

 

研究内容

レーザー開発1:数十TWクラスのピーク強度を持つ数サイクルレーザー

高繰り返し・高出力固体レーザーを励起源として光パラメトリック・チャープパルス増幅(OPCPA)を行うことで、超高出力の数サイクルレーザー光を作ることが可能です。これを用いて電場振動の絶対位相(sin関数/cos関数)を制御する事によって、光と物質の相互作用を制御することが可能となります。目標とする性能は、パルス幅~5fs(光電場振動が約3周期分)、ピークパワー~30TW、繰り返し10Hzです。(1fs (フェムト秒) = 10-15秒、1TW (テラワット) = 1012 W)

写真5 数十TWクラスのピーク強度を持つ数サイクルレーザーの開発

 

レーザー開発2:高出力パルスファイバーレーザーとビーム結合技術

ファイバーレーザーは高いビーム品質と増幅効率及び安定性を兼ね備えており、非常に優れた光源です。一方で、伝搬コアの断面積が小さいため、レーザー損傷や誘導ラマン散乱、誘導ブリルアン散乱といった非線形現象により、パルスあたりのエネルギーが制限されます。これに対し、フォトニッククリスタルファイバーを用いて1ビームあたり平均150Wのピコ秒パルスレーザー光を発生し、8本のビームをコヒーレントに結合することで、平均出力1kWを実現しています。 これをさらに2ビームコヒーレントビーム結合する事で、パルス列の波形やバースト出力のオン・オフが自在な光源の開発を進めています。

写真6 高出力ファイバーレーザーとビーム結合部:時間波形が自在な光源の開発

 

レーザー開発3:高平均出力サブナノ秒紫外パルスレーザー

波長変換技術を利用し、世界最高出力の3倍高調波の発生に成功しました。独自に開発した結晶冷却技術により、波長347nm、パルス幅285ps、平均出力300W、変換効率40%を達成しました。

図7 高平均出力サブナノ秒紫外パルスレーザー

 

レーザー開発4:空間光変調器(SLM)と4f光学系を用いた超高精度ビーム整形

バイオ測定や加工用レーザー、超大型高出力レーザーに至るまで、ビーム形状を高精度に制御する事で、レーザーが本来持つ能力を最大限発揮することが可能となります。本研究では、空間光変調器(Spatial Light Modulator: SLM)とレンズ2枚から構成される4f光学系を組み合わせる事で、従来のフィルターや多ビーム重ね合わせでは実現不可能な、超高精度かつ自在なビーム整形技術を開発しています。このテーマで、博士前期課程1年の学生がポスター発表賞を受賞しました(LAMOM@ LASE conf. 2017, 賞金$500)。

写真8 空間光変調器(SLM)及び4f光学系を用いた超高精度なビーム整形

 

レーザー応用1:ものづくり革命に貢献するレーザー加工

従来に無い素材と構造を持つ新材料を利用する事による、資源の効率的利用や新産業の発展を通じた持続可能な社会の構築が望まれています。本研究室では、時空間的に精密制御された高機能・高強度レーザー加工を利用した「ものづくり革命」を目指します。

写真9 時空間的に制御された高機能・高強度レーザー加工を通じた「ものづくり革命」

 

レーザー応用2:干渉パターン加工を利用した新しいナノマテリアル創成

レーザーを利用した干渉パターンは、計測や感光で広く利用されています。本研究室では、超高強度レーザーの干渉パターンで金属ナノ流体プロセスを誘起することで、数千から数万個以上のナノ構造をミリ秒の時間オーダーで同時に作製する事に成功しました。また、これをLIDT(Laser-Induced Dot Transfer)に応用することで、ナノドット配列をシングルプロセスで作製する事が出来ます。これらの新しいナノマテリアルのプラズモニクスやバイオへの応用を進めています。

写真10 ナノマテリアル創成の例:金ナノドロップマトリクス

 

レーザー応用3:干渉パターンの自在制御と物質構造への転写及びバイオ応用

コヒーレントな光であるレーザーは位相や強度の制御が容易です。これを干渉パターン形成に応用することで、光の分布を二次元・三次元・四次元空間において自在に制御する事が出来ます。さらにこれを物質プロセシングに用いることで、高機能表面修飾や新しい立体構造物の創成などを進めています。
一方、2014年ノーベル化学賞を受賞した「STED超解像顕微鏡」技術では、励起による蛍光発生領域を脱励起ビームで微細化する事で、波長限界を超えた超解像度を達成します。本研究テーマではレーザー制御技術を活かし、高速観察が可能な超解像顕微鏡の開発を目指します。

写真11 干渉パターンの自在制御:光の二次元・三次元・四次元分布の制御

 

 

メンバー

中田 芳樹 准教授
吉田 英次 特任研究員
宮永 憲明 特任教授/名誉教授
白神 宏之 招へい教授/名誉教授
藤田 雅之 招へい教授
谷口 誠治 招へい准教授

 

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