Institute of Laser Engineering, Osaka University

Plasma Photonics (PPD)

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パワーレーザーで新物質材料創成

レーザー超高圧縮で新物質状態を創る・観る技術

高出力のパルスレーザーを固体表面に集光照射すると高温・高密度プラズマが生成されアブレーションが起こり、超高圧の圧力波や衝撃波が生成され固体内部に伝播する。このような動的な圧縮により比較的容易に100万-1000万気圧を超える超高圧状態を創り出すことができる。この超高圧力状態は、惑星の中心の圧力に相当するとともに、地上に存在していなかった新たな物質材料を創り出すことができる。

レーザー超高圧で新物質材料を創るカギとなる技術の1つは、超高圧状態のダイナミックス制御技術を実現するレーザーパルス波形整形技術であり、もう1つはXFELなどによるレーザー超高圧状態のミクロダイナミックス診断技術である。これらによりレーザー超高圧下での構造変化の診断と制御による新物質創成の可能性や全く新しいレーザープロセスが期待されている。さらに今後、より高精度かつ大量のテータを可能とする高繰り返しパワーレーザー技術の進展も期待でき、情報科学との連携などによる新学術の創成と共に新たなイノベーション創出が期待できる。

 

【応用1】 新しいダイヤモンドを創る

パワーレーザーを利用し、炭素(グラファイト)を圧縮することで様々なダイヤモンドを創ることができる。レーザーによる1次元圧縮により、比較的容易にグラファイトから六方晶ダイヤモンド(ロンズデーライト)を創ることが可能になってきている。これはダイヤモンドより1.58倍以上の硬度があると考えられている。さらに1000万気圧以上で体心立方(BC8)ダイヤモンド(スーパーダイヤモンド)の状態を実現し、手の上に取り出すことを試みている。これは系外大型惑星(スーパーアース)のコア物質と思われている。

 

【応用2】 新しい金属を創る

レーザーによる動的な圧縮は、通常の静的な圧縮と異なり、超高速でかつ1次元圧縮である。この特性を活かして様々な金属を創り出すことができる可能性がある。

・金属シリコン(10万気圧以上)
レーザーの高速圧縮・冷却による高圧相凍結による金属シリコンの取り出しの可能性

・混合相状態のナノ構造鉄(10-100万気圧)
異なる高圧相の混合鉄を創り出せる可能性

・金属カーボン(3000万気圧以上)
未発見の超軽金属カーボンの可能性

 

プラズマフォトニクスによる極限デバイス

固体光学素子を超えた極限デバイス技術

より強いレーザー光やより高いエネルギーの粒子加速を実現するために、システムの固体デバイスの損傷を避けるため、レーザービーム口径を大きくしたり、加速長を長くしシステムサイズを大きくしてきた。ところが、もし高密度プラズマをデバイスとして利用できれば、固体デバイスに比べ1000倍以上強い光が、また1000倍以上強い加速電界を取り扱うことができる。結果として装置の超小型化や固体素子にはない新たな機能が期待されている。これがプラズマフォトニクスによる極限デバイスである。

 

高密度プラズマを利用した光制御や荷電粒子ビーム制御のプラズマデバイスとして例えばプラズマミラー、プラズマコリメーター、プラズマファイバー)、プラズマラマンによるパルス圧縮など高強度光制御デバイスがある。 また高エネルギー粒子ビームの分野ではプラズマレンズやプラズマ偏向などの粒子ビームの方向制御やプラズマ粒子加速などがある。ここでは、実用化しているもしくは実用化が近いプラズマミラーとレーザー加速プラズマデバイスについて紹介する。

 

【応用1】 放射光施設をコンテナサイズに

プラズマ加速管で従来の加速器を1/1000以下にできる可能性がある。さらにプラズマ導波路やプラズマコリメーターなどのプラズマフォトニックデバイスを開発することで、世界で最も安定なレーザー加速電子ビームを実現している。
この技術が実現できれば、数100mの従来加速器を、トラックのコンテナに乗せることもが可能になる。これにより放射光施設は身近になり材料開発が一気に加速される。また心臓の毛細血管を全て見ることができるレントゲンや稼働状態のジェットエンジンを非破壊検査できるなど安全・安心の社会にも大きく貢献できる可能性を秘めている。

 

【応用2】 真空をレーザー光で見る

強いレーザー光は、何もないと思われる真空と反応する。無の世界から生まれたと思われる宇宙の起源に関係する「真空ゆらぎ」によるものである。独自が開発した回転楕円体の高速集光プラズマミラーと超高強度レーザーを利用して「真空ゆらぎ」による散乱光をとらえることができる可能性がある。
またレーザー加速プラズマデバイスを利用しで、一般相対論の等価原理による重力場と等価な等加速度場における「真空ゆらぎ」を観測するための実験も提案している。これはブラックホール近辺で予測されている「時空のゆがみ」に関係する可能性がある。

 

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