大阪大学 レーザー科学研究所

研究RESEARCH

高エネルギー密度物質材料

High Energy Density Material Science and Technology

プロジェクトの概要

パワーレーザーによって発生する高エネルギー密度状態を利用し,この高エネルギー密度プラズマと物質との相互作用の解明とその応用に関して,レーザー加工および物質に新しい機能を付加する技術に焦点をあてて取り組んでいます.本プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高輝度・高効率レーザー光源の開発」プロジェクトおよび文部科学省の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「先端レーザーイノベーション拠点」の支援を得て実施しています.

目的及び意義

近年、温室効果ガスの主な排出源である自動車・航空機などの軽量化技術として、レーザーピーニングやレーザーフォーミングによる加工・高強度化技術が注目されています。一方、これら加工原理の解明が十分進んでおらず、ものづくり現場での要求に応える高い制御性や安定性を確立することが求められています。本事業では、これまで大型レーザー装置実験で培ったレーザーと物質の相互作用に関する知見を活かし、大出力パルスレーザーを用いた大面積加工の高性能化を目指すとともに、新たな価値観に基づいた加工法およびその評価技術の開拓を行っています。

計画の概要

高パルスエネルギーレーザー照射による物質の状態変化の非破壊非接触その場観察技術、及び分析評価技術を開発し、高パルスエネルギーレーザーの新たな産業応用を開拓します。パワーレーザー照射による材料加工データベースの構築と流体シミュレーションの高度化を通して,CPS(Cyber-Physical Space)レーザー加工技術への貢献を行います.また,レーザーを高温加熱源とした材料試験法を開発し,核融合炉や極限状態の物質の健全性を評価する研究を実施しています。

進捗状況及び成果の概要

高出力レーザー照射によって発生する大面積衝撃波の時間・空間制御を行うことにより、これまでのレーザーピーニングでは得られなかったより深部までの残留応力付加に成功しました。この残留応力を短時間で計測可能な新しい評価用試料を開発しました(図1)。また,照射レーザーの時間・空間制御を行うことによって,さらに深部まで材料を強化できることを証明し,流体シミュレーションを駆使してさらに高度化を目指しています(図2)。

図1 (左)レーザーピーニングによる残留応力評価用の新設計試料(右)照射後の断面写真

図2 流体シミュレーションによる残留応力付加の計算結果(レーザー照射空間分布制御)

メンバー

重森 啓介 教授(研究代表者)
長友 英夫 准教授
尾崎 典雅 准教授(大学院工学研究科)
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