大阪大学 レーザー科学研究所

研究グループGROUPS

核融合プラズマ科学(FPS)

グループの概要

FPSグループでは、レーザー核融合によるエネルギー開発を目指して、ハイパ ワーレーザーを用いた核融合燃料プラズマの高密度爆縮と加熱に関する研究を行い、高速点火核融合の原理実証を目的とするFIREX-1プロジェクトを推進しています。そのための高精度のプラズマ診断装置の開発や、レーザープラズマの応用研究も行っています。

研究室HP

工学研究科電気電子情報工学専攻の協力講座「光・量子システム研究領域」(白神研)の
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研究内容

高速点火レーザー核融合

我々はレーザー核融合による発電を目指し、従来の中心点火方式に比べて制御性が良い高速点火方式レーザー核融合に注目した研究を行なっています。

高速点火は、1.燃料の爆縮と、2.加熱のプロセスに分けられます。 爆縮は1970年代から研究が続けられ、1990年代に球殻(シェル)ターゲットを用いて、個体密度の600倍までの圧縮に成功しました。しかし爆縮途中でレイリーテーラー不安定性によりシェルが破れ、高密度圧縮と同時にホットスパークを実現するのは困難でした。 高速点火方式では、加熱レーザー照射によってホットスパークを作るため、点火の制御が可能となります。加熱研究は2000年代から研究から研究が始まり、高効率な加熱に向けて研究が続けられています。加熱用レーザーであるLFEX装置が2015年に4ビームフル稼働を開始しました。超高強度レーザーがターゲットに照射されると、高速電子が加速され、その高速電子によって核融合燃料コアを加熱します。電子エネルギーを最適化するためのレーザー波長変換技術の開発及びレーザーのパルス波形の最適化、レーザー光同士の干渉効果の検証など、多方面から加熱効率の向上を目指しています。 また近年では、レーザーによって加速された陽子(プロトン)を用いた高速点火に関する研究も行っています。

プラズマ診断技術開発

核融合プラズマコアは、高温・高密度で、わずか100psの時間に、50µmという小さな領域に生成され、そのプラズマを診断するには高度なプラズマ診断装置の開発が不可欠です。例えばこの写真は、核融合燃料コアのイオン温度を中性子エネルギースペクトのドップラーシフトから計測するための、MANDALAと呼ばれる大型の中性子検出器で、600チャンネルのシンチレーター計測器からなる中性子カウンティング計測装置です。加熱レーザーのエネルギー増大に伴って、加熱の際に発生するX線の強度も上がりました。MANDALAはX線にも感度を持つため、高強度X線信号によって中性子信号が検出困難になります。この問題を解決するために、より性能の高いシンチレーター材料の開発、高速ゲート装置の開発を行なっています。

レーザープラズマ応用

レーザー核融合プラズマから生成される中性子は非常に小さな領域から、瞬間的に高輝度の中性子を発生させます。この中性子を用いて、大型の被写体の非破壊検査に応用する技術開発を進めています。そこで、レーザー核融合中性子計測技術を応用して、中性子ラジオグラフ技術を開発しています。

メンバー

有川 安信 准教授
Morace Alessio 助教
白神 宏之 名誉教授/招へい教授

 

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