大阪大学 レーザー科学研究所

ニュースNEWS

ようこそレーザー研へ! Lan先生 着任インタビュー

2025年4月にLan Zechen先生が助教として着任し、大学院時代を過ごしたレーザー研に、教員として戻ってこられました。レーザーと中性子を使った研究に取り組みながら、学生の皆さんと一緒に学び、成長していきたいとのこと。これまでの経緯や研究において大切にされていることなどをお伺いしました。

 

研究の道に進んだ経緯を教えてください

中国の大学で光や情報通信に関する分野を学び、レーザーの仕組みや応用に興味を持ちました。その後、日本に留学し、大阪大学レーザー科学研究所で研究に取り組むようになりました。大学院ではレーザーを使って中性子をつくり、それを物質の分析に役立てる研究を進め、2024年に博士号を取得しました。量子科学技術研究開発機構で博士研究員を経験した後、現在の職に就きました。

研究を続ける中で面白いと感じるのは、まだ答えのない問いに、自分で考えた方法で向き合えることです。教科書で知識を学ぶだけでなく、自分の手で確かめることで、少しずつ理解が深まっていく。そうした経験を重ねるうちに、これからも研究を続けていきたいと思うようになりました。

中性子の応用の一例:物質の内部の温度を調べるイメージ。 AI生成画像に説明を加えた概念図です。

どのような研究をしていますか

レーザーを使って中性子を発生させる「レーザー駆動中性子源」の開発と、その応用に取り組んでいます。中性子は物質を通り抜ける性質を持ち、物質を壊さずに内部の元素や温度などを調べる手がかりになります。中性子源の開発を進めながら、それを材料の分析や物理現象の解明に役立てたいと考えています。自分たちで開発した中性子源が、新しい測定や発見につながるところに、この研究の面白さを感じています。

これまでの研究で最も印象に残っていることは何ですか

2020年の実験で、レーザー駆動中性子源を使って、中性子の共鳴吸収スペクトルを初めて測定できたことです。これは、原子核の種類に応じた特徴的な吸収の信号を捉える測定です。当時は、多くの先生方も実現は難しいと考えていた課題でした。それだけに、実際のデータで信号を確認できたときの達成感は、とても大きかったです。もちろん、最初からうまくいったわけではありません。知りたい信号がほかの信号に埋もれてしまうなど、さまざまな問題がありました。測定方法や装置を見直し、うまくいかない原因を一つずつ考えながら、改良を重ねました。諦めずに取り組み、共同研究者や実験を支える皆さんの協力もあって、ようやく成功につながりました。

この経験から、難しいと思われていることでも、工夫を積み重ねることで実現に近づけるのだと実感しました。今も新しい課題に向き合うときには、この経験が自分の支えになっています。

レーザー駆動中性子を用いて、物質の性質を調べる実験装置の一部。

研究をするうえで大切にしている信条はありますか

難しいという理由だけで、可能性を閉じないことです。ただ「できるはずだ」と信じるだけでは前には進めません。何が難しいのか、どこを変えればよいのかを具体的に考え、自分にできることから試していく。その姿勢を大切にしたいと思っています。同時に、自分の考えにこだわりすぎず、結果に対して誠実でありたいです。予想と違う結果が出たときには、都合よく解釈するのではなく、自分の考えのどこを見直すべきかを考える。粘り強く取り組むことと、考えを改める柔軟さは、どちらも必要だと思います。

また、研究は一人ではできません。周りの人の意見に耳を傾け、わからないことを素直に相談することも大切にしたいです。留学や共同研究を通じて、異なる背景や専門を持つ人と学び合えることの大きさを感じています。

これからどのような研究者や教員になりたいですか

自分自身が面白いと思う問いに向き合いながら、その成果が誰かの研究や社会の役に立つような仕事をしていきたいです。すぐに大きな成果につながらなくても、自分が明らかにしたことや、つくった測定方法が、次の人の挑戦につながる。そんな研究を積み重ねていくことが理想です。

教員としては、学生が自分で考え、挑戦できるように支えたいと思っています。答えを教えるだけでなく、なぜそう考えたのか、次に何を確かめたいのかを一緒に考えられる存在でありたいです。かつて自分が多くの先生方や先輩方に支えていただいたように、今度は学生の成長を支えられるようになりたいです。私自身も、学生とともに学び続けたいと思っています。

これから研究を目指す学生へメッセージをお願いします

少しでも面白い、もっと知りたいと思うことがあれば、その気持ちを大切にしてほしいです。最初から十分な知識や自信がなくても、学びながらできることは増えていきます。難しそうだからと遠ざける前に、まずは調べたり、誰かに話を聞いたりしてみてください。

研究では、努力がすぐに結果に結びつかないこともあります。そんなとき、一人で抱え込まず、周りの人と話しながら、自分なりの次の一歩を探してほしいと思います。私自身、何度も試行錯誤を重ねて、ようやく測定に成功した経験があります。自分で考え、確かめたことが新しい発見につながる喜びを、ぜひ皆さんにも味わってほしいです。

ページ先頭へ戻る