革新的パワーレーザー開発プロジェクト
Innovative High Power Laser Project
プロジェクトの概要
本プロジェクトでは基礎科学の探求と未開拓の医療・産業分野への応用を目指して従来技術では実現が困難であった、高いパルスエネルギーと高い繰り返し動作を同時に実現すると同時に情報通信技術を駆使することで多彩な利用研究に適用できる革新的なパワーレーザーの開発に取り組んでいます。本プロジェクトは科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業・大規模プロジェクト型「粒子加速器の革新的な小型化及び高エネルギー化につながるレーザープラズマ加速技術」の支援を得て実施しています。
目的及び意義
単一ショットで動作するパワーレーザーの高いパルスエネルギーは他の手法では得られなかった高密度、高温、高圧力などの極限の状態を実現できるため主として基礎科学研究に利用され優れた成果が得られてきました。最近では、得られた知見をもとに、中性子やイオンなど様々な高エネルギー量子ビーム発生法が提案され癌治療や非破壊検査、また、超高圧物性研究に基づく新物質創生や宇宙デブリ除去による宇宙環境保全など、高度な医療・産業・宇宙分野への応用の可能性が示唆されています。これらの幅広い分野を開拓し豊かな未来を創造するために革新的パワーレーザーを開発することを目的としています。
計画の概要
大阪大学では最先端科学と医療・産業分野の幅広い開拓を目指して革新的なパワーレーザーを中心とした多用途施設 J-EPoCH(Japan Establishment for a Power-laser Cummunity Harvest)を提案しています。本プロジェクトではJ-EPoCHの中核設備である革新的パワーレーザーを開発します。革新的パワーレーザーの高いパルスエネルギーと高い繰り返し動作を同時に実現するためには、光学材料内で発生する熱の高排熱化と材料内温度分布の低減という互いに相容れない2つの課題とパワーレーザーによる光学系の破壊という課題を解決することが必要です。このため材料や薄膜などの光学技術やシステム化技術などレーザーの基礎・基盤となる技術レベルにまでさかのぼり、新しい概念やアイデアを積極的に取り入れて実用技術として確立し、この技術を核(コア)として従来の高度なパワーレーザー技術とAIやIoTによる最先端の情報通信技術を融合させて革新的パワーレーザーの実現を目指します。
進捗状況及び成果の概要
これまでコアとなる新規基盤技術として、レーザーセラミクス材料や材料接合技術の開発、温度による材料物性値の制御技術、低応力接合技術、ビーム結合技術などを実現し、J-EPoCHに向けたレーザーシステム開発を進めています。